A.actinomycetemcomitansの感染機序の分子生物学的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08457484
• 研究機関: 東京歯科大学
• 研究代表者: 奥田 克爾 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40085741)
• 研究分担者: 山中 あゆみ 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (40231667) ; 三浦 直 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10266570) ; 石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00212910) ; 加藤 哲男 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00159253)
• キーワード: 歯周病 / 感染防御抗体 / 付着因子 / A.actinomycetemcomitans / 遺伝子 / fap / クローニング / 線毛

研究概要

高齢化社会における歯学領域の研究課題は、口腔の健康とその機能維持を計ることである。成人の歯の喪失原因である歯周炎は、QOLを脅かす感染症である。Actinobacillus actinomycetemcomitansは、若年者の歯周炎の原因菌であるだけでなく成人の歯周炎の原因菌となっていることが明らかにされてきた。私達はA.actinomycetemcomitansの付着因子である線毛抗原に対する歯周炎患者血清中のlgG抗体の結合力価が高い場合、本菌の感染が少ないことを見出した。A.actinomycetemcomitansの線毛抗原のアミノ酸配列を読み取り、それをもとにプローブを作成し線毛抗原タンパクをコードする1.7Kbのfap遺伝子をクローニングした。本75アミノ酸のうち疎水性の高い部分のオリゴペプチドを合成した。さらにこのオリゴペプチドをMAP法で大きくし抗原性を高めウサギを免疫した。ウサギ免疫血清は、本菌線毛保有株が唾液をcoatしたヒドロキシアパタイトビーズやヒト線維芽細胞さらにはヒト頬粘膜上皮細胞に付着するのを濃度依存的に抑えた。しかしウサギ免疫血清中の抗体価は充分とはいえず、本線毛合成オリゴペプチド抗原を免疫ルートを変えたり種々のアジュバントを用いてより高い血清lgG抗体の産生ならびに唾液中の分泌型lgA産生を調べた。
A.actinomycetemcomitans線毛合成オリゴペプチド抗原は、コレラ毒素をアジュバントとして用いて経鼻粘膜免疫すると唾液中の高い分泌lgA産生をもたらすことを見出した。またアジュバンドとしては、インターロイキン-4をcoatするPlasmid DNAならびにliposomesなども有効であることを知った。
現在クローニングしたA.actinomycetemcomitans fap遺伝子を腺細胞への侵入遺伝子などを含むplasmidに挿入することを試みている。すなわちfap遺伝子をもつPlasmid DNAを接種することによって、本菌の線毛抗原に対する抗体産生誘導を企画している。

研究成果

• [文献書誌] Kimizuka,R.etal: "Characterization of Actinobacillus actinomycetemcomitans hemolysin" Microbiology and Immunology. 40. 717-723 (1996)
• [文献書誌] Ishihara,K.etal: "Characterzation of the Treponema denticola ptp gene encoding a prolyl Phenyl alanine specific protense(dontilisin)" Infection and Immunity. 64. 5178-5186 (1996)
• [文献書誌] Kato,T.et al: "Isolation and characterization of hemclysin gene from A.actinomycetemcomitans" FEMS Microbiol.Lett. 143. 217-222 (1996)
• [文献書誌] Honma,K,et al: "Genetic Control of imuyne responsos to a sgnthetic finbrcal antigen of Actinopdcillus actinoncycetemcom'fons" Microbiology and Immunity. 41. 609-614 (1997)
• [文献書誌] Ishihara,K.et al: "Cloning and seguence analysis of fimbrcal associoted (fap)gene from Actinopacihus actinomycetemcomifous" Microbiology Pattiogenesis. 23. 63-69 (1997)
• [文献書誌] Okada,K,: ":Rele for the Slayer of Conpylobacter rectcs Alcc3323in couplenat uedited killing and phoyoceyticlcilling bykrukoagtes from guineapeys and Punan periphoed blocd" Oral Diseases. 3. 113-12c (1997)
• [文献書誌] 奥田克爾: "口腔の感染症とアレルギー" 一世印刷出版, 1-315 (1996)
• [文献書誌] 奥田克爾: "歯周病学" 永末書店, 29-39 (1996)