研究課題/領域番号 |
08457486
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (70161049)
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研究分担者 |
飯村 忠浩 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20282775)
大井田 新一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10114745)
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キーワード | 歯根膜 / S100 / カルシウム / cDNAクローニング / メカニカルストレス |
研究概要 |
最初に牛の歯根膜組織のcDNAライブラリーを作製した。次に、牛の頭蓋骨と歯根膜組織のmRNAをcDNAに交換し、頭蓋骨の過剰のmRNAとhybridizationさせ、残ったcDNAをプローブとして、歯根膜組織のcDNAをスクリーニングしたが、ポジティブクローンを得ることができなかった。歯根膜組織は、咬合力による強大なメカニカルストレスにさらされた環境下において、歯の支持結合組織としての機能を維持している。歯根膜細胞におけるCa^<2+>情報伝達系および細胞骨格系の制御が歯根膜組織の機能維持に密接に関与していると考えられる。一方、S100A4と呼ばれるカルシウム結合タンパクは、カルシウムと結合するとともに細胞骨格成分とも結合し、細胞骨格系の制御において何らかの役割を果たしていると考えられている。そこで、我々は歯根膜組織におけるS100A4に焦点を絞り研究を開始した。最初に、牛の歯根膜組織よりcDNAライブラリーより、牛のS100A4のクローニングをおこなった。次に、Northern分析により、S100A4の遺伝子発現を口腔内の種々の組織において調べたところ、この遺伝子の発現が歯根膜組織において特に高かった。興味深いことに、歯の萌出が完了した歯根膜組織におけるこの遺伝子の発現レベルは、歯の萌出が完了していない歯根膜組織における発現レベルに比較すると著しく高かった、同様に、細胞骨格系のα-tublineおよびβ-actinの遺伝子発現レベルも歯の萌出が完了した歯根膜組織において高かった。歯の萌出が完了すると、咬合力により歯根膜組織により大きな負荷がかかる。したがって、S100A4さらに細胞骨格系の遺伝子発現量はメカニカルストレスにより制御されている可能性が高いと考えられる。また、培養歯根膜細胞にメカニカルストレスを負荷することにより、S100A4、細胞骨格系の遺伝子発現が増加する現象も観察しており、この結果も我々の推測を支持するものである。歯根膜細胞において、S100A4がCa^<2+>と共役することにより、細胞機能の維持に何らかの役割を果たしていると考えられる。
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