研究概要 |
エナメル質は咬合咀嚼の機能を生涯にわたって維持する目的のために、生体内で最も硬い組織である。この形成の過程で、エナメル芽細胞によりまずAmelogeninとEnamelinとからなるタンパク質性基質が合成分泌され、その中で、アパタイト結晶の析出と成長が進行し、最終的に有機基質は除去されて、大きく、方向性の揃った結晶をもつエナメル質が完成する。 このようなエナメル質の形成ならびに成熟機構に関する変化を知る目的で、多種の研究方法を用いて研究を行った結果、以下の成果を得た。 (1)マウスAmelogenin染色体DNAのクローニング マウスgenomic libraryよりウシAmelogenin cDNAを用いてマウスAmelogenin遺伝子をクローニングし、その構造を調べた。その結果、マウスAmelogeniもヒトやウシと同様に7つのエキソンからなることがわかった。また、プロモーターより上流約3Kbpの領域の塩基配列を決定した。その結果、inverted CCAAT配列、TATA Boxのほか、GR,AP-1,Pit-1などの転写調節エレメントも見つかった。これらの転写調節領域がどのように機能しているか、現在検討中である。 (2)エナメリン遺伝子のクローニング エナメリンのオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、PCRによりエナメリンのDNAフラグメントを得、それをプローブにして、ヒト、ウシ、マウスのエナメリン遺伝子をクローニング中である。 (3)培養軟骨細胞ATDC5を用いた軟骨性化骨の研究。 培養軟骨細胞ATDC5を用いて、各種軟骨特異的遺伝子の発現と石灰化の関係について、PCR法を用いて、分析中である。
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