研究概要 |
歯周病の発症、進展と歯周病原性因子、マクロファージとの関連性を明らかにするために、歯周病原性因子(44kDaタンパク質、LPS)によるマクロファージのPGE_2産生とCOX-2発現の細胞内情報伝達系について研究した。歯周病原性因子の一つ、44kDaタンパク質はPorphyromonas gingivalis培養液より、Bio-Gel A-0.5m, DEAE-Sephacel, SP-Sepharose FF を用いて電気泳動的に単一な標品を得ることに成功した。そして44kDaタンパク質、LPS刺激によるマクロファージのPGE_2産生、COX-2発現について、Northern blot,Western blot,ならびにアラキドン酸よりPGE_2への酸素活性より調べたところ、次の結果が得られた。(1)Rat peritoneal macrophageによるPGE_2産生は無刺激では0.15±0.09ng/10^6cellsであったが、44kDaタンパク質(1μg/ml)では0.373±0.07ng/10^6cellsと増加した。しかし、その刺激効果はLPS(1.0μg/ml)の139.1±41.0ng/10^6cellsに比べて非常に弱いものであった。 (2)LPS刺激のCOX-2発現は濃度、時間に依存した。(3)LPS刺激のCOX-2発現に対して、protein kinase Cinhibitor(H-7)は抑制作用を示さなかったが、tyrosine kinase inhibitor(genistein)は濃度依存的に抑制した。 (4)LPS刺激によるマクロファージタンパク質のtyrosine リン酸化に対して、genistein は阻害作用を示した。従って、LPSによるマクロファージのPGE_2産生亢進は、tyrosine kinaseを介する細胞内情報伝達系のCOX-2誘導によるものであることが明らかになった。
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