研究課題/領域番号 |
08457499
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態科学系歯学(含放射線系歯学)
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
山本 哲也 高知医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00200824)
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研究分担者 |
植田 栄作 高知医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10203431)
米田 和典 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90182849)
尾崎 登喜雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (70031995)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 口腔扁平苔癬 / ケラチノサイト / β_1およびβ_2インテグリン / 単核球 / サイトカイン / NF-KB / LPS / CD59 |
研究概要 |
口腔扁平苔癬(OLP)の発症機序と病態を検討し、以下の結果を得た。 1)口腔粘膜ケラチノサイト(KC)はGM-CSF、IL-6、TNF-α、IL-1β等のサイトカインを産生し、特にOLPに罹患した粘膜から得たKC(OLP-KC)はこれらのサイトカインを多量に産生した。2)OLP-KCから産生されたサイトカインにより、末梢血の単核球(PBMC)の走化能は亢進し、血管内皮細胞間を通過するPBMCの数が増加した。3)PBMCは、OLP-KCから産生されたサイトカインにより活性化され、PKC活性の上昇、IP_3および[Ca^<2+>]iレベルの上昇、蛋白チロシンリン酸化の亢進が観察された。4)PBMCの活性化と共に、細胞膜上にCD11a.CD11b.CD18等のβ_2インテグリンが強く発現され、これと共に、OLP-KCからのサイトカインにより、血管内皮細胞のVCAM-1、ELAM-1の発現が亢進した。PBMCの内皮細胞間の通過能の亢進は、これらの接着因子の発現の上昇によるものであった。5)KCのサイトカイン産生亢進に関わる外的刺激因子の検討より、LPSおよび温熱が刺激因子として働くことが想定された。すなわち、金属イオンではKCのサイトカイン産生は亢進しなかったが、E.coli由来のLPS、温熱(42℃、10分間)、および熱ショック蛋白(HSP68kDa)ペプタイドによりサイトカイン産生は亢進した。6)KCのサイトカイン産生亢進には、PKCの活性化、蛋白チロシンリン酸化と共にNF_<-κ>Bの活性化が関わっていた。7)LPSによるKCの活性化はCD14を介するのではなく(CD14はKCには発現されていなかった)、CD59を介していた。 以上の結果から、OLPの発症機序として、KCからのサイトカイン産生が亢進し、産生されたサイトカインによりPBMCおよび内皮細胞が活性化され接着因子の発現が上昇する。その結果、PBMCの走化能が亢進し、濃度勾配的に上皮下にPBMCが浸潤するものと想定された。KCからのサイトカイン産生亢進は外的因子が考えられ、その1つにLPSとか、温熱が考えられた。今後、さらに詳しくKCのサイトカイン産生刺激因子を追求する必要があり、それと共に、浸潤したPBMCの役割を解明することが必要である。
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