研究課題/領域番号 |
08457505
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
鳥居 光男 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30116066)
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研究分担者 |
糸田川 徳則 大阪大学, 歯学部, 助手 (70232494)
今里 聡 大阪大学, 歯学部, 助手 (80243244)
諏訪 素子 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (80206599)
塚田 岳司 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (70236850)
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キーワード | 抗菌性歯面塗布材 / イオン交換機構 / 可逆性 / 陽イオン性抗菌剤 |
研究概要 |
抗菌性レジンのベースモノマーとして2官能性のトリエチレングリコールジメタクリレートを選び、それと共重合可能な陽イオン交換基としてメタクリル酸を加え、カンファーキノンとジメチルアミノエチルメタクリレートによって光重合化した。陽イオン性抗菌剤として塩化セチルピリジニウム(CPC)と、塩化ベンザルコニウムクロリドを選び、まず上記ベースレジンに対する溶解性を調べたが、CPCの方が溶解性が高かったため、以後CPCについて実験を進めた。 ベースレジン中のメタクリル酸の完全交換容量の4分の1に相当するCPCを加えた試作抗菌レジンについてCPCの保持がイオン交換機構によるものであり、可逆的であることを証明するために以下の実験を行った。 1.CPC溶出のpH依存性:試作抗菌レジンで作製した円板状試料を蒸留水に浸漬し、未保持のCPCを溶出させた。その後、試料をpH4〜8の緩衝液にそれぞれ浸漬したところ、中性ないしアルカリ性ではCPCの溶出は見られなかったが、pH7.5以下の酸性領域ではpHの低下に従ってCPCの溶出が増加した。 2.CPCの吸脱着:CPCを加えないベースレジンで作製した試料を1%CPCを含むpH7.0の緩衝液中に1時間浸漬した。蒸留水に浸漬して未保持のCPCを溶出した後、試料をpH4.0の緩衝液に浸漬したところ、さらにCPCの溶出が観察された。 3.CPC溶出のイオン強度依存性:1.と同様にして作製された抗菌レジン試料を、pH7.0の緩衝液に浸漬し、塩化ナトリウムを加えることによりイオン強度を上げていくと、イオン強度の上昇に従ってCPCの溶出量が増加した。 以上の結果より、試作抗菌レジンはCPCをイオン交換機構により保持しており、可逆的に吸脱着することが明らかとなった。したがって、本抗菌レジンを歯面塗布材として用いた場合、周囲の環境が中性ないしアルカリ性の場合は非溶出型の機序で抗菌効果を発揮し、口腔細菌が付着し酸産生を始めるとCPCを溶出して溶出型の機序で働く。しかも、溶出により抗菌効果が低下した場合には、高濃度のCPCで処理することにより、抗菌性が回復することが示唆された。
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