研究課題/領域番号 |
08457505
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
鳥居 光男 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30116066)
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研究分担者 |
糸田川 徳則 大阪大学, 歯学部, 助手 (70232494)
今里 聡 大阪大学, 歯学部, 助手 (80243244)
諏訪 素子 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (80206599)
塚田 岳司 鹿児島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (70236850)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 抗菌性歯面塗布材 / イオン交換機構 / 可逆性 / 陽イオン性抗菌剤 |
研究概要 |
我々は、う蝕を予防するために歯面塗布材に効果の高い薬剤溶出型であるにもかかわらず永続性を持った抗菌性を付与することを目的に本研究を企図した。 歯科用レジンに陽イオン交換基を加えることにより、陽イオン性抗菌剤が可逆的にレジンに保持され、イオン交換機序による吸脱着で周囲環境が酸性になる(例えばう蝕原性菌が酸産性を行う)と抗菌剤を放出し、高濃度の抗菌剤で処理すると再度抗菌剤を吸着して抗菌力を回復するという形で、永続的な抗菌性を付与するという考えの下に、トリエチレングリコールジメタクリレートを主成分に、これと重合可能な陽イオン交換基としてメタクリル酸を加えて光重合化したものに、陽イオン性抗菌剤として塩化セチルビリジニウム(CPC)を溶解させたレジンを試作した。 本レジンは、周囲のpHが6.5以上ではCPCを放出しないが、pHが6以下になるとpHの低下に従ってCPCを放出すること。また、中性環境下でも食塩を加えてイオン強度を上昇させると、食塩濃度の上昇に従ってCPCを放出すること。さらに、CPCの放出が終了した試料を0.25%のCPC水溶液に浸漬すると、再び酸性環境下でCPCを放出するようになることが明らかになった。これらの結果は、本レジンがCPCをイオン結合で可逆的に保持していることを証明している。抗菌性に関しては、本レジン上でS.mutans菌を培養しても生菌は回収されず、また本レジンの円盤状試料を懸垂したスクロースを含む培地で同菌を培養しても試料表面にはほとんど菌の付着はないうえ、この抗プラーク性は試料を唾液処理してもほとんど影響されず、本レジンの強い抗菌・抗プラーク性がin vitroで証明された。さらに、この性質はビーグル大によるin vivoの実験でも確認された。 以上の結果から、本レジンを用いることによって、歯面塗布材及びすべての歯科用レジンに永続性のある薬剤溶出型の抗菌性を付与できる可能性が強く示唆された。
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