研究分担者 |
鷲尾 憲文 岡山大学, 歯学部, 助手 (40263602)
明貝 文夫 岡山大学, 歯学部, 助手 (50263588)
高橋 慶壮 岡山大学, 歯学部, 助手 (70243475)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
高柴 正悟 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50226768)
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研究概要 |
歯周炎ではかいされた歯周組織歯周組織の理想的な治癒形態は歯根膜と歯槽骨の再生を伴ったものである。その組織再生誘導の成否は歯根膜繊維芽細胞の走化・増殖・細泡外基許合成に左右され,さらにそれらの機能はサイトカインや成長因子によって調節されていると言われている。なかでも,トランスフォーミング成長因子(TGF-β)は歯根膜繊維芽細胞の諸機能を著明に促進するとともに,細胞自身が産生することをすでに申請者らは確かめている。 そこで,本研究では,歯周組織の再生ということに焦点をあて,細胞培養系で歯根膜繊維芽細胞がこの再生能力を最大限に発揮できる条件をTGF-βの役割の面から探ることを目的とした。 本年度はヒト歯根膜繊維芽細胞におけるTGF-βの産生およびTGF-βがリガンドとして結合するセリンスレオニンキナーぜ(STK)レセプターの発現について調べ 1.TGF一βとそのレヒプターの発現様態からヒト歯根膜繊維芽細胞をみると、そのプロフィールはヒト歯肉繊維芽細胞のそれとは異なっていた。また,ヒト歯根膜繊維芽細胞ではtypeI,IIのレセプターが発現している上に、その生理的リガンドTGF-β1が発現していた。 2. ヒト歯根膜繊維芽細胞に機械的外力(緊張・弛緩力を規則的に一定時間)をかけて生体内の環境を模倣した条作ではTGF-βmRNAとそのレセブター(typeI,II)mRNAの発現はまともに抑制された。 3. TGF-β1のmRNA発現をラット歯周組織のin situハイブリダイゼーションで調べたところ,歯肉繊維芽細胞ではなく歯根膜細胞において著明に発現していた。 これらの結果より,ヒト歯根膜繊維芽細胞におけるTGF-βの作用にはオートクリンの機構が働いていると考えられる。また,歯周組織では,TGF-βの作用はとりわけ歯根膜組織において発揮されるのもと予想でき,しかもその作用は咬合によって調節される可能性が示された。
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