研究課題/領域番号 |
08457509
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
加藤 伊八 長崎大学, 歯学部, 教授 (30005087)
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研究分担者 |
谷 真彦 長崎大学, 歯学部, 助手 (70188374)
池田 康男 長崎大学, 歯学部附属病院, 助手 (90274670)
吉村 篤利 長崎大学, 歯学部, 助手 (70253680)
原 宜興 長崎大学, 医学部, 助教授 (60159100)
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キーワード | Actinobacillus actinomycetemcomitans / Porphyromonas gingivalis / 内毒素 / 接合上皮 |
研究概要 |
歯周病原性細菌のうちとくに注目されている、Actinobacillus actinomycetemcomitansおよびPorphyromonasgingivalis由来の内毒素を、温Phenol-water法にて抽出し、さらにpronaseおよびnuclease処理して精製した。これをラット歯肉溝に24時間毎に1時間連続的に滴下し、接合上皮ならびに歯肉結合組織の病理組織学的変化を経時的に観察した。また精製Escherichia coli由来内毒素を対照として使用した。その結果、以下のような所見が得られた。まず1回滴下後には、3群ともに若干の炎症性細胞浸潤を結合上皮内あるいは上皮直下結合組織に認めるのみであった。この炎症性細胞浸潤は徐々に増加してはいたが、急速な拡大は観察されなかった。そしてA.actinomycetemcomitansならびにE.coli内毒素滴下群において、3回滴下後から上皮脚の結合組織への延長が認められた。この根尖側への上皮脚の延長は経時的に長くなっていた。さらに10回滴下後では、とくにA.actinomycetemcomitans滴下群において上皮脚部の細胞の壊死ならびに離断が生じ、あたかも歯周ポケットの形成を思わせる所見が得られた。これに対してP.gingivalis由来の内毒素滴下群では、炎症性細胞浸潤に関しては前述の2群と類似していたが、上皮脚の延長や破壊は顕著でなかった。以上の結果より、A.actinomycetemcomitans由来の内毒素はP.gingivalis由来内毒素よりも接合上皮細胞に対して破壊的に働くことが推測された。今後は超微形態的所見も加えて、細菌内毒素による歯周組織破壊の機序を追及する予定である。
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