研究概要 |
イヌの顎骨内に植立したオッセオインテグレイテッドインプラントの周囲組織に長期間プラークを自然に蓄積させ、その影響を臨症的、細菌学的に検索する目的で行つた。成犬4頭を用い、下顎左右前臼歯の抜去3カ月後にBranemark implant(BR),Integral implant(IN)を8本埋入した。3カ月にアバットメントを連結し、プラークコントロールを1カ月行い上部構造を装着した。対照歯として左右第1後臼歯を選択した。この時点からプラークコントロールを中止した。臨床検査、X線診査、細菌学的検索は上部構造装着時、3カ月、6カ月後に行つた。臨床検査で行つたProbing,Plaque index,プロービングによる出血陽性率は、どの群も3カ月後に増加し、高い値を示していた。動揺度に顕著な変化はみられなかつた。またX線所見において、明らかな骨吸収像は認めなかつた。細菌学的検索において、BR,IN,天然歯の細菌叢に大きな違いはなく、形態学的観察において球菌の割合は、装着時にBR-64%、IT-86%が、6カ月後にBR-38%、IN-54%、天然歯-52%と低下した。運動性菌の割合はBRが4%から19%に、INは0.8%から15%に、天然歯は1.5%から14%に上昇した。培養法におけて、黒色色素産性グラム陰性桿菌の割合はBRは11%から28%に、INは11%から17%に、天然歯では7%から23%に上昇した。A.actinomycetemcomitans類似菌は、検出されなかつた。 以上の結果から、インプラント周囲組織は天然歯と比較してプラークの蓄積に対し破壊されやすい可能性、天然歯の歯肉溝の細菌はインプラントサルカスの細菌に影響を及ぼす可能性が示唆された。
|