イヌの顎骨内に植立したオッセオインテグレイテッドインプラントの周囲組織に長期間プラークを自然に蓄積させ、その影響を臨床的、細菌学的に検索する目的で行った。成犬4頭を用い、下顎左右前臼歯の抜去3ヶ月後にBranemark implant(BR)、Integral implant(IN)を8本埋入した。3ヶ月にアバットメントを連結し、プラークコントロールを1ヶ月行い上部構造を装着した。対照歯として左右第一後臼歯を選択した。この時点から、プラークコントロールを中止した。臨床検査、X線診査、細菌学的検索は上部構造装着時、3ヶ月、6ヶ月後に行った。臨床検査で行ったProbing、Plaque index、プロービングによる出血陽性率は、どの群も3ヶ月後に増加し、高い値を示していた。動揺度に顕著な変化は見られなかった。またX線所見において、明らかな骨吸収像は認めなかった。 1. すべてのインプラントは、インプラント周囲組織に著しい炎症性細胞浸潤を認め、歯槽骨頂部は骨吸収を生じていた。しかし、骨髄組織への炎症性細胞浸潤は観察されなかった。 2. 対照歯では、プラーク沈着による歯周組織変化は認められなかった。 3. プラーク細菌は、インプラント周囲組織に対して組織破壊因子として作用する可能性が示唆された。 4. リガチャーによるプラーク沈着の助長を行わず、プラーク沈着のみにより誘発されたperi-implantitisにおいても、長期観察により、プラーク細菌により更なる骨吸収が進行することが考えられる。
|