研究概要 |
アルシアンブルー染色によって硫酸化グリコサミノグリカン(S-GAG)を検出する方法を改良した。従来の方法と異なって、pHを低くすること、高塩濃度にすること、界面活性剤を用いることにより、DNA,タンパク質、ヒアルロン酸などの高分子陰性荷電物質の染色を最小限にし、S-GAG染色の特異性を高めた。 S-GAG(コンドロイチン4硫酸、コンドロイチン6硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸)溶液をセルロースアセテートストリップに貼付し、0.05M MgCl_2,0.4M グアニジン塩酸、0.002M 硫酸、0.25%TritonX-100を含む0.2%アルシアンブルー(pH1.5)で染色した。 それぞれのS-GAGのアルシアンブルーとの結合力には差があり、コンドロイチン4硫酸が最も強くヘパラン硫酸が最も弱かった。標準品である牛DNA,牛血清アルブミン、睾丸ヒアルロン酸と染色剤の結合は無視できる程度であった。コンドロイチン4硫酸を基準として染色剤とS-GAG複合体をスキャンニングデンシトメーターを用いて測定した結果、300ngまで直接関係を示した。 本法を用いてヒト生体液(膝関節液、血清、唾液)を前処理することなく直接測定した結果、生体液に含有される他の高分子陰性荷電物質の影響を受ける事無くS-GAGの測定が可能であった。 また、ヒト歯肉溝滲出液S-GAGの測定に応用した結果、歯周病炎患部から得られた単位時間あたりの滲出液S-GAG量(71.41±20.04ng)は歯肉炎患部位(10.53±4.28ng)、正常部位(7.83±2.21ng)から得られた量より高かった(p<0、0001)。
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