研究概要 |
Actinobacillus actinomycetemcomitans Y4株から抽出精製したリポ多糖(lipopolysaccharide;LPS)および莢膜多糖の骨吸収活性および破骨細胞形成能を調べた。5日齢マウス頭蓋骨を用いた骨器官培養系でY4株由来のLPSおよび莢膜多糖は強い骨吸収活性を発現した。また,マウス骨髄細胞から破骨細胞が分化誘導されるか否かについて調べたところ,Y4株由来のLPSおよび莢膜多糖は著しい数の破骨細胞の形成を誘導した。さらに,この培養系でマウスIL-1αに対する抗体,マウスIL-1βに対する抗体およびインドメタシンはY4株由来の莢膜多糖による破骨細胞の形成を阻害した。そこで,骨髄細胞培養液中のIL-1量,プロスタグランジンE_2量を測定したところ,Y4株由来莢膜多糖で刺激したマウス骨髄細胞の培養上清中には,多量のIL-1とプロスタグランジンが存在していることが明らかとなった。以上の結果から,Y4株由来の莢膜多糖による破骨細胞の分化誘導には炎症性メディエーターであるIL-1およびプロスタグランジンが深く関与している可能性が強く示唆された。
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