研究課題/領域番号 |
08457519
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大山 喬史 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50064366)
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研究分担者 |
向山 仁 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00242214)
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (70161049)
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10126211)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 老化 / 顎骨 / 骨塩量 / 骨粗鬆症 / 歯 / osteoporosis |
研究概要 |
歯科臨床において、顎口腔機能の回復を目的とした欠損補綴を行う際には顎骨の形態や骨量が重要である。一方、高齢化社会の到来とともに、老化および閉経に伴う骨量の減少(骨粗鬆症)が問題となっている。しかしながら、加齢や歯の喪失が顎骨に与える影響については、明らかにされていない。顎骨の吸収には全身的、局所的な因子が関連していると考えられているがその詳細は明らかにされていない。そこで我々は、閉経後の骨粗鬆症モデルである卵巣摘出(OVX)ラットを用いて下顎骨のBMDを測定し、老化や歯の喪失(EXT)が顎骨の変化に及ぼす影響について検討した。 DEXAを用いた骨塩量の解析の結果、下顎骨全体のBMDはOVX群、対照群間で有意な差はなかったが、下顎頭部に限局してBMDを測定すると、OVX群は対照群に比較して有意に減少していることが明らかになった。さらに、臼歯部における、限局した部位での海面骨骨塩量をpQCT法により測定すると、OVX群では、それが有意に減少していた。しかし、皮質骨に関しては、同部位において差は見られなかった。一方、上顎右側第一大臼歯を抜去したEXT群と対照群との比較では、EXT群において下顎頭の部位におけるBMDが減少傾向にあったが、有意な差は確認されなかった。 以上の結果から、卵巣摘出によるエストロジェン欠乏下においては、皮質骨は大きな影響は受けないものの、海綿骨の減少は比較的皮質骨の多い下顎骨においても観察されることが明らかとなった。したがって、全身的な因子であるエストロジェン欠乏による骨粗鬆症は、皮質骨が多く比較的に海綿骨量の少ない下顎骨にも影響を及ぼすことが示唆された。また、上額第一大臼歯の抜去による下顎骨への影響については、今回の実験においては有意ではなかったが、今後、さらなる検討が必要だと考えている。 一方、骨形成または骨吸収を制御する因子についても研究を進め、ラット骨髄ストローマ細胞初代培養系を確立し、骨芽細胞の増殖及び分化の過程を明らかにしてきた。現在、骨形成促進因子について検索中である。
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