研究概要 |
歯科精密鋳造の行程時間を短縮して鋳造を可能な限り迅速に行うことは,急速加熱型石膏系埋没材ならびに急速加熱型リン酸塩系埋没材,更に近年開発された新規の急速加熱型石膏系埋没材などによって,蝋型の埋没終了後45分から60分で鋳込作業を終了できるまでに改善されてきた。 本研究はこのような迅速精密鋳造の理論と技術を歯科チタンの鋳造へ応用し,歯科チタンの迅速鋳造を目的として,歯科チタン鋳造の迅速の可能性を追求し,その理論構築を行ったものである。 その結果,チタン鋳造用埋没材のなかで,焼成後の圧縮強さが十分に大きい埋没材において急速加熱による迅速鋳造が可能であった。この方法で作成したチタン鋳造体の引張強さ,0.2%耐力,弾性係数,伸びなどは従来の方法で作成されたチタン鋳造体とほとんど差が認められず,鋳造体の物性に及ぼす迅速鋳造の影響は少なかった。 本研究の結果から,チタン鋳造用埋没材の練和開始から30分後に900℃の炉内に直接鋳型を入れ,30分間係留後に鋳造を行う迅速鋳造が可能であることが明らかとなった。 従って鋳造行程時間を1時間に短縮でき,初期の目的は達成された。
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