研究代表者は、1.粉末をより微細化、処理して静電気の発生を極力抑え、液を低粘度化することによる粉液比の増加、2.コンポジットレジン用の処理材の考えとは異なりグラスアイオノマーに適した歯質処理材の開発、3.高齢者の心理的、肉体的負担の軽減を図るための次回研磨策の科学的根拠の解明を目的として、当該研究を立案した。その結果、本年度は 1.粉末量増化の効果を期待して、上述の考えに沿った光硬化型グラスアイオノマーを試作したが昨年度は期待したほどの成果が得られなかった。本年度末になって、やっとメーカーの協力である程度の期待した強さを有する試作品が完成した。そこで次年度は、脆性材料の機械的強さの評価法として代表的な曲げ強さの測定を、昨年度購入した万能材料試験機で精力的に行い、併せて本年度発注した破壊靭性測定用の器具でもって、破壊靭性も測定したい。 2.グラスアイオノマーに適した歯質処理材の開発は、本年度も試みたが、歯質界面がコンポジットの場合と同じ機構になり、グラスアイオノマーの特長が発揮できない理由で中止した。 3.次回研磨策の科学的根拠の解明は、本年度は少ししか進展しなかった。しかし、硬化反応の進行による歯質接着性の向上、修復材そのものの吸水膨張や吸水による収縮応力の減少についてまとめた学術論文が本年度末に1報完成、現在投稿中である。 4.次年度は最終年度なので、今までの成果を精力的に学術論文にし、研究成果報告書作製の資料としたい。
|