研究概要 |
近年,コンピュータグラフィック上で2次元像を重ね合わせて立体構築した後,任意の断面で画像を取り出すことのできる3次元構築システムが発表され興味を持たれている.本研究の目的は,我々の開発したインプラント周囲骨の3次元構築システムにより,各種インプラント材料と表面性状の異なるものを埋入したときの骨と生体材料との3次元的なインターフェイスを観察し,経時的な骨形成メカニズムを解明することにある.本年度は,いずれもスムーズな表面をもつアパタイトインプラントとチタンインプラントについて検討した.実験には,ニュージーランド白兎を用いた.脛骨を露出し,通法どおりインプラント窩を形成してそれぞれのインプラントを埋入した.2,4,8週後に屠殺して組織ブロックを作製し,我々の開発した方法に従ってインプラント周囲骨構造を3次元的に再現した.得られた3次元像をもとにインプラント周囲の骨体積率,インプラント-骨界面での接触率を算出したところ以下の結果が得られた. 1)アパタイト、チタンのいずれのインプラントにおいても,骨体積率および骨接触率は埋入部位に依存する傾向にあった. 2)アパタイトインプラントでは,2,4週後に著名な新生骨形成により,高い骨体積率および骨接触率を示したが,8週後には減少していた. 3)チタンインプラントでは,2,4,8と時間の経過につれて骨体積率および骨接触率は増加する傾向にあった. 以上の結果より,アパタイトとチタンはそれぞれ骨形成メカニズムに違いのあることが明らかとなった.来年度は,カルシウム注入チタンインプラントについても同様の検討を行う予定である.
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