研究概要 |
本研究の目的は我国はオリジナル製品である常温時効硬化金合金を多数歯欠損用の接着ブリッジのリテーナーに使用した場合の適合度と接着耐久性を検討し,全ての臨床ケースに対応できる接着ブリッジの術式を確立するための基礎的研究を行おうとするものである。 1)欠損歯列模型の金型作製:前歯部と臼歯部,さらにそれらを連結したフルマウスの接着ブリッジが作製できる金型をコバルトクロム合金で作製した。リテーナーデザインは基本型と維持型の2種類とし,全ての支台歯は着脱可能とし,任意の歯種の支台歯を撤去し,欠損部とすることで,臨床に対応する全てのケースの再現が可能となった。 2)接着ブリッジの作製:前歯ブリッジは(3)2(1),臼歯部では(6)5(4)を想定してそれぞれの接着ブリッジを作製した。まず,支台歯形成済みの支台歯金型にワックスを軟化圧接し,次いでワックスアップ用の金型を圧接してワックスパターンを作製し,通法どおり埋没,鋳造を行った。ポンティック部分は陶材焼付用金属で通法どおり鋳造し,それらを前ろう着して接着ブリッジを完成した。 3)適合度試験:完成したブリッジの内面の気泡等を除去してから,支台歯金型への適合度を調べた。適合度は接着ブリッジのリテーナー部分にフィットチェッカーを盛り上げ,金型に一定圧で圧接し,硬化後にフィットチェッカーの厚さを,I.Watanabeの方法に従って測定し,判定した。前、臼歯部ブリッジ共に1歯欠損の場合は良好な適合度が得られたが,2歯,3歯と欠損部位が増し,支台歯も増すに従い適合度にばらつきが認められた。
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