顎関節諸組織の主要構成非コラーゲン性糖タンパクであるプロテオグリカンをブタ関節円板、円板後部組織、下顎頭線維層および腱組織を用いて生化学的(タンパクレベル)に比較した。まず各組織を部分精製し、プロテオグリカンのコアタンパクを消化後セルロースアセテート膜電気泳動を行い、糖鎖であるグリコサミノグリカンについて検索した。次にグリコサミノグリカンを消化後コアタンパクについてウエスタンブロット法で検索した。 その結果各組織はアグリカン、デコリン、ビグリカンと類似したプロテオグリカンを含んでいた。 次にヒトの顎関節開放手術により摘出された関節円板およびブタ下顎頭線維層よりTotal RNAを抽出し、逆転写酵素を使用してcDNAを作製した。そして前年度の研究でその存在が推測されたアグリカン、デコリン、ビグリカンのプライマーを作製した。その各プライマーとcDNAを利用して、RT-PCR法を行った。出来上がったPCR産物を4.5%ポリアクリルアミドゲルに電気泳動し、エチジウムブロマイドにて染色した。またブタのPCR産物に関してはダイレクトシークエンス法にてその塩基配列を検索し、以前報告されている各プロテオグリカンの塩基配列とのホモロジーを比較した。その結果ブタ下顎頭線維層のPCR産物は以前報告されたプロテオグリカンの塩基配列と高いホモロジーを示した。このことより今回検索したヒト、ブタのPCR産物はプロテオグリカンであるアグリカン、デコリン、ビグリカンであると考えられた。 また、ヒト顎関節関節円板はアグリカン、デコリン、ビグリカンのmRNAを全て発現しており、ブタ顎関節下顎頭線維層もまたプロテオグリカンであるアグリカン、デコリン、ビグリカンのmRNAを全て発現していた。
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