研究課題/領域番号 |
08457551
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (20222705)
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研究分担者 |
松尾 信 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (70295088)
大井 久美子 長崎大学, 歯学部・附属病院, 教授 (80134732)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 痛み / 不安 / 神経伝達物質 / Nitric Oxide |
研究概要 |
不安や恐怖が痛覚過敏状態を起こすかどうかを調べるために、鎮痛作用、抗不安作用に関するNitric Oxideの脳内情報伝達物質としての役割を検索した。 研究初年度ではラットの脳内Microdialysis法を用いて、Nitric Oxideを無拘束で高速液体クロマトグラフィにより測定するシステムを構築し、測定精度を確立した。次年度は不安の動物モデル(コンフリクトテスト、高架式十字迷路)を作製し定量性に関する実験を行い、その有用性を検証した。最終年度には、静脈麻酔薬(ミダゾラム、プロポフォール、ケタミン)の鎮痛作用、抗不安作用、鎮静作用、麻酔作用が脳内NO産生にどのような影響を与えるかを検討した。 その結果、抗不安作用、鎮痛作用、麻酔作用の発現に脳内NOが深く関与していて、他のモノアミン神経系と相互作用を生じていることが明らかになった。しかし、実験によっては、従来の報告と異なる結果が得られた。このことから脳内NOの二面的な作用機序が考えられた。即ち、状況不安など弱い不安・ストレスに対しては、NOは保護的に作用するが、対象がはっきりした、強い恐怖のような情動変化では、活性化されたNOが他の神経伝達物質を増加させ、悪循環を形成すると予想される。いったん活性化され過剰に産生されたNOは密接な関連を持つ脳内セロトニン神経系などに影響を与え、痛覚過敏状態を作り出すのではないかと考えられる。最近、NO合成酵素阻害剤を使用するのではなく、過剰に生成された生体にとって有害なNOだけを消去し、生体にとって必要なNOは残してやろうという治療法が検討されている。NO消去剤の研究が進めば、痛みを増強するような悪循環のネットワークを断ち切る薬剤、管理法ができると期待する。
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