研究課題/領域番号 |
08457552
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50165180)
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研究分担者 |
関口 隆 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00240929)
井手 隆 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70274933)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 頸部リンパ節転移 / 接着分子 / カドヘリン-カテニン複合体 / 細胞増殖活性 |
研究概要 |
口腔扁平上皮癌一次症例のうち、切除術が行われた50例を対象にカドヘリン-カテニン複合体の発現の有無と頸部リンパ節転移の有無(pN±)との関係を検索した。50例中pN+は18例で、評価部位を癌の浸潤先進部で行ったところ、臨床病期の進行に伴ってE-カドヘリン、α-カテニンともに減弱を呈する傾向が認められた。E-カドヘリン、α-カテニンの発現が非減弱型-非減弱型10例ではpN+は認められず、非減弱型-減弱型4例中pN+1例、減弱型-非減弱型16例中pN+6例、減弱型-非減弱型20例中pN+11例といずれかが減弱を呈する症例ではリンパ節転移を有する症例が増加することから、カドヘリン-カテニン複合体の形成異常が口腔扁平上皮癌の浸潤増殖とリンパ節転移に関与することが示唆される結果が得られた。一方、臨床病期I,II28例について、潜在性頸部リンパ節転移(ONM)とカドヘリン-カテニン複合体の発現の関係では、E-カドヘリンの減弱がONMの発現と推計学的に有意の関連性を示した。また、癌細胞増殖活性の指標として、PCNAの標識率と癌細胞核DNA量のヒストグラムはほぼ相関し、核DNA量が4Cを超える細胞群の比率を超4C率として評価すると、pN+症例の超4C率は20%以上の高値を示し、頸部リンパ節転移を有さない症例と比較すると高値を示した。一方、癌抑制遺伝子P53の標識率が30%以上の症例をP53陽性症例と判定すると、現時点では、p53陽性症例はE-カドヘリン、α-カテニンの非減弱型が多数を占める傾向が得られている。また、最新型冷却遠心機の発売が平成8年11月となったため、本機の購入が遅れていたが、試料の収集は順調に進んでおり、本研究の進行に支障はないと考えている。
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