研究概要 |
健康成人ボランティアにエピネフリンを持続静注して循環系のパラメータの変動を観察した.血圧はトノメトリ法を、心拍出量及びSTI等はインピーダンス法によって連続的に測定した。 また、観血的処理を受ける高血圧症患者においても入室より処置終了まで同様のパラメータを計測した。 観察項目は、SBP,MAP,DBP,%MAP,HR,CO,CI,SV,SI,RPP,TPR,PEP,LVET,dZ/dtである。 その結果は以下の如くであった。 1,生食を静注した対照群において各パラメータに経時的な変化を認めなかった. 2,エピネフリン持続静注群においては,各パラメータに用量依存性に変化を認めた.殊にTPR,HR,CI等が早期より、続いてSV,PEP,LVETが大きく変動した. 3,これに対して,%MAPの有意な変動は認められなかった. 4,観血的処置を行った高血圧症患者においても,血圧やHR,STIに刻々の変動がみられたが、%MAPに鋭敏な変動を認めなかった. 5,健康成人ボランティア群と高血圧症患者群において%MAPのコントロール値に有意の差を認めた. 6,これらより,トノメトリ法によって得た%MAPは,瞬時瞬時における患者の循環動態を表す指標としては不適切であることが示唆されたが,もともとの循環状態を評価する指標として有用であることが期待される.
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