研究概要 |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の重複潜伏感染の存在を明らかにする目的で,HSV-1の野生株をマウスに接種し,潜伏感染を起こさせた後,再活性化ウイルスと接種ウイルスのDNAパターンを比較した. SPF-ddyオスマウスを使用し,急性感染症からの分離株2種類(M2951株,M3775株)と無症候性排出ウイルス分離株2種類(Q535株,Q1368株)にそれぞれの混合株の6群に分け接種した.ウイルス接種はマウスの左頬部に8.5×10^7PFU/mlのウイルス液を1滴のせ,広げるように塗布し,その上を26Gの注射針で60回ひっかいて上皮を傷つけるように接種した.ウイルス接種時から1ヶ月,2ヶ月,3ヶ月,6ヶ月後に両側三叉神経節を採取し、細切後HEL細胞に接種explant cultureを行い,活性化ウイルスにつきDNAを抽出し,BamH I,SalIの制限酵素で切断後,電気泳動を行い,各群別に接種ウイルスと活性化ウイルスとの切断パターンを比較した. その結果,単一株接種では,感染症群,無症候性排出群ともに,1ヶ月,2ヶ月,3ヶ月,6ヶ月後の再活性化ウイルスは接種ウイルスと全て同一パターンを示した.しかし,混合株接種では,両群ともに再活性化が見られず,重複潜伏感染の存在を明らかにすることは出来なかった.
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