研究概要 |
1. フッ化物イオンとアルミニウムイオンの錯体構成比と吸収時の相互作用の機構 1) 生理的環境での他の配位子の影響は考慮せず,錯体構成の理論値から単回投与モデル実験を設定した。溶液中のフッ素とアルミニウムの量比によって錯体構成比を変化させ,投与量とそのときの主要錯体種を以下のように決定した。 1.0mmol/kgAと0.14mmol/kgF+1.0mmol/kgAlではAl^<3+>, 0.95mmol/kgF+1.56mmol/kgAlと0.95mmol/kgF+1mmol/kgAlではAlF_2^+ 0.95mmol/AgF+0.35mmol/kgAlと2.7mmol/kgF+1mmol/kgAlではAlF_3, 0.95mmol/kgFではF^-。 2) Wistar系雄ラット42匹を7群に分け,1)の投与条件下で各溶液を経口投与し,30分後の血清中フッ素濃度とアルミニウム濃度を測定した。その結果,血清中フッソ素濃度はフッ素と同時に投与するアルミニウム量が増えるに従い減少し,また,血清中アルミニウム濃度はアルミニウムと同時に投与するフッ素量が増えるにしたがい著しく増加した。特に両イオンが構成する主要錯体種がAlF_3となる条件下で血清中のアルミニウム濃度に有意な増加がみられた。 2. ラットトランスフェリン結合型アルミニウムの分別測定 1) 抗ラットトランスフェリン抗体をカップリングさせたアフィニティーカラムと分析カラムをオンラインし,ラット血清中トランスフェリン結合型アルミニウム測定を実施した。 2) 1.の投与条件で,投与30分後の血清中トランスフェリン結合型アルミニウム濃度を測定した結果,トランスフェリン結合型アルミニウム濃度はアルミニウムと同時に投与するフッ素量が増大するつれ増加するが,その程度はアルミニウム総量の増加に比べゆるやかであった。
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