研究概要 |
本研究は,顎顔面非対称症例のTVRにより誘発された咀嚼筋筋活動の観察を行うことにより,咬合状態および顎態とγ運動神経の関連性を検討するために計画された。 結果A 下顎骨側方偏位と側頭筋の反射性筋活動の関連を緊張性振動反射(TVR)を用いて筋電図学的検索を行った。下顎側方偏位患者11名、学生ボランティア6名を被験者とした。以下の結果が得られた。 1) 全被験者について、偏位側と比較し、非偏位側のTVR indexが有意に高い傾向を示し、下顎偏位量とTVR indexの左右差の間に有意な相関を認めた。 2) 6名のボランティアについては下顎位が中央の時にTVR indexが最も低く、筋に対して対側へ下顎を偏位させたときにTVR indexは有意に高い値を示した。 以上の結果より、下顎側方偏位症例では単に左右の筋紡錘の伸張量が異なるためにTVRにおいて左右差が生じるのではなく、中枢からのγ運動神経活動の左右差の存在の可能性が示唆された。 結果B 下顎骨側方偏位と咬筋の反射性筋活動の関連を緊張性振動反射(TVR)を用いて筋電図学的検索を行った。下顎側方偏位患者12名、健常者10名を被験者とした。以下の結果が得られた。 1) 下顎側方偏位患者においては偏位側と比較し、非偏位側のTVR indexが有意に高い値を示した。 2) 全被験者において下顎側方偏位量とTVR indexの左右差の間に有意な負の相関が認められた. 以上の結果から、下顎側方偏位患者においては、偏位方向に関連する咬筋に対するγ運動神経活動の左右差が存在することが示唆された。 被験者には研究目的、研究方法を説明し、同意を得た上で上記の研究を行った。
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