研究課題/領域番号 |
08457568
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
雫石 聰 大阪大学, 歯学部, 教授 (00028789)
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研究分担者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
片岡 宏介 大阪大学, 歯学部, 助手 (50283792)
天野 敦雄 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50193024)
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キーワード | 歯周病原性菌 / Porphyromonas gingivalis / 線毛 / prolone-rich protein / statherin / proline-rich glycoprotein / 唾液タンパク質 / 結合 |
研究概要 |
有力な歯周病原性細菌と考えられているPorphyromonas gingivalisが口腔内に定着するためには、本菌のもつ主たる付着因子である線毛と特定の唾液タンパク質との特異的な結合が重要な役割を果たしていると考えられている。我々は、既に、P.gingivalis線毛は顎舌下腺および舌下腺唾液中に含まれるstatherinとproline-rich protein(PRP)に特異的に結合すること、その結合にはstatherin分子内のLeu-29-Tyr-30およびTyr-41-Thr-42-Phe-43の残基とPRP分子内に4箇所認められるPro-Gln-Gly-Pro-Pro-Glnの残基がそれぞれ関与していることを報告した。本研究では、耳下腺唾液中に含まれる唾液成分のうちP.gingivalis線毛と結合する成分を同定し、その結合部位とstatherinやPRPタンパク質分子内の結合部位を比較し、共通なレセプター領域が存在するかどうかを検討した。ヒト耳下腺唾液をカラムクロマトグラフィーにより分画し、精製線毛タンパク質と結合する画分をOverlay assay法により同定したところ、精製線毛タンパク質はproline-rich glycoprotein(PRG)と強い相互作用を示した。精製したPRGを用いてハイドロキシアパタイトを被覆し、ヨードラベルした線毛タンパク質の結合能を調べた結果、線毛はPRGに結合することが示された。また、PRG被覆ハイドロキシアパタイトへの線毛タンパク質の結合はstatherinタンパク質分子内の結合部位を含むペプチドでは阻害されなかったが、PRPタンパク質分子内の結合部位を含むペプチドにより阻害された。さらに、PRPタンパク質分子内の結合部位を含むペプチドはOverlay assayで明らかにPRGと線毛タンパク質との相互作用を阻害した。以上の結果より、線毛タンパク質はPRGとPRPの共通のペプチド領域を介して両タンパク質に結合するが、statherinへの結合は異なった結合領域により起こることが示された。
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