研究概要 |
本研究の目的は,顔面骨格と顎運動パターンの発達を横断的に解析し,各年齢群における両者の相互関係とその年齢推移を明らかにすることである.本年度は研究方法の確立を行った.大学生男子25名,女性25名の限界運動,ガム咀咽時の切歯の運動を記録した.また頭部X線規格写真を分析し,以下の結論を得た. 1.正面像の開口路では中間型と非水平型が53.4%と43.9%,閉口路では中間型が86.8%,回転方向では順回転が66.4%と多かった.側面像の開口路は凹型が74.6%,閉口路では凸型が63.7%,回転方向は交叉回転が53.5%と多かった.定量的変数の平均値は垂直距離23.2mm,側方幅4.3mm,前後幅1.4mm,側方傾斜角9.9°,後方傾斜角16.6°であった. 2.定性的変数による顎運動パターンには,側面像の開口路の形と正面像の回転が深く関与し,P1〜3群に分類された.P1群は標準的な顎運動で,80%以上の者が側面像開口路は凹型優勢型,正面像回転方向は順回転優勢型であった.P2群は側面像開口路,P3群は正面像回転方向において優勢な形と回転がなく,混在型であった. 3.定量的変数による顎運動パターンには開閉口路の垂直距離,側方幅,後方傾斜角が深く関与し,M1〜3群に分類された.M1群は標準的,M2群は開閉口路の側方幅が狭くて後方傾斜角が大きく,M3群は開閉口路の垂直距離と後方傾斜角が小さかった. 4.定性的変数による顎運動パターンと顎顔面形態の関連では,P3群は他の2群に比べて下顎枝が前傾し,下顎骨は前方位でOverjetが小さかった. 5.定量的変数による顎運動パターンと顎顔面形態の関連では,M2群はSkeletal class III open biteで顔面,歯列幅径は小さく,正常咬合,上顎前突が少なく,反射咬合,前歯部開咬,臼歯部交叉咬合の者が多かった.M3群はSkeletal deep biteで,顔面,歯列幅径が大きかった.
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