現在の矯正治療は、重度な骨格的な不正咬合に対しては、外科的矯正治療が実施されているが、手術による形態的改善は、確立されつつあると思われる。しかし、手術後の筋肉の機能的回復については、回復されているのか、また、どの時期にどのような回復程度であるのか不明である。外科的矯正治療の術後評価は、主に筋電図に関した報告がなされているが、本研究では、ラット咀嚼筋を対象として、外科的矯正治療の際に実施する筋肉剥離について、剥離後の筋萎縮から回復状態について組織学的に検討した。今回生後20日齢のWistar系crJラットの咬筋剥離実験を行い術後4週齢までの筋肉変化をH・E染色およびAzan染色を用いて評価した。 結果 1.術後1、2、3、4週齢共に咬筋線維の直径を計測した結果ope側はcontrol側と比較して1%の危険率をもって有意差が認められた。このことはope側は、control側と比較して、筋線維の萎縮が認めらた。 以上の結果より、咬筋剥離後は、筋肉の回復は長期に認められないことより臨床で実施している外科的矯正治療に伴う咬筋剥離は、術後1年および2年程度では、筋肉の回復は認められず、比較的長期間を要する。 実際の臨床では、術後に筋肉の機能回復を目的とした筋肉のトレーニングを実施することが必要と考える.
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