研究概要 |
(I)アカネ科チャボイナモリOphiorrhiza pumila再生植物体並びに毛状根の二次代謝産物 (1)再生植物体の二次代謝産物:チャボイナモリカルスの再分化により再生植物体を得た。再生植物体からは、Camptothecinをはじめカンプトテシン関連アルカロイド計6種と他の9種の既知化合物を得るとともに新規配糖体型カンプトテシノイドである9-βーD-Glucoxyloxycamptothecinを単離することができた。 (2)毛状根の二次代謝産物:再生植物体にアグロバクテリウム菌Agrobacterium rhizogenes(pRi15834;pGSGlucl)を感染させ、形質転換体である毛状根を誘導することができた。毛状根固型培地培養体では、Camptothecinの生産を確認できなかったが、3(S)-,3(R)-Deoxypumilosidなど関連アルカロイド計4種、アントラキノンなど3種を得た。また毛状根液体培養体からは、Camptothecinをはじめとしたカンプトテシン関連化合物計4種とアントラキノンなど6種を単離した。 再生植物体・毛状根ともにカンプトテシンを生産することが明らかとなった。また、野生株と同じく毛状根でも3(S)-,3(R)-Deoxypumilosidの両者の存在が認められ、カンプトテシンの生合成経路を解明する上で大変興味深い。 (II)カンプトテシシン類緑化合物の合成研究 カンプトテシン仮想生合成経路にしたがって、3(S)-,3(R)-PumilosideのC-7位の酸素官能基を還元的に除去することにより、3(S)-並びに3(R)-Deoxypumilosidへの変換を達成した。 また、再生植物体より単離した新規アルカロイド、9-βーD-Glucoxyloxycamptothecinの合成を行い、絶対配置を含めてその構造を科学的に決定した。
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