研究概要 |
1)抗腫瘍性海洋産アルカロイド、マンザミンAの合成 Diels-Alder環化付加反応を基軸とする光学活性マンザミンAの基本骨格の構築を検討した。光学活性ジエノフィルの合成を検討し、L-セリンを不斉源とする合成経路を確立した。得られたジエノフイルとDanishefskyジエンとのDiels-Alder反応は収率64%(ジアステレオマ-比、1.5:1)で進行しマンザミン骨格中A,B環部分に相当する付加体が得られた。付加体より9行程をへて、すでにラセミ体での合成に成功している4環性中間体(A,B,C,D環部分に相当)に変換することに成功した。さらにB環部官能基の構築に向けての研究に着手している。またオレフインメタセシス反応を用いるアゾシン環の構築も検討した。 2)抗腫瘍性ダイネミシンAの不斉合成を目的とする不斉Diels-Alder反応の開発 デヒドロ-2-キノロン誘導体と2-トリエチルシロキシ-1、3-ペンタジエンのDiels-Alder反応を鍵反応としてA.G.MeyersによるダイネミシンA合成中間体の新たな合成経路の開発に成功した。本Diels-Alder反応の不斉化を検討すべく、まずモデル反応としてN-ベンゼンスルホニルジヒドロ-2-ピペリジノン誘導体とシロキシペンタジエンとの不斉Diels-Alder反応を検討した。トルエン中、室温にて古賀等により開発されたキラルルイス酸(lーメントールとEtAlCl_2より調整)を触媒として反応を行ったところ収率71%(endo/exo=3)で反応が進行しエンド体、エキソ体共に約40%eeの不斉誘導が観測された。 3)DNA修復酵素vsrの過剰発現とその構造解析 大腸菌ゲノムよりPCR法によりvsrをコードする遺伝子を取りだしvsr発現ベクターを構築した。vsr発現ベク夕ーにてトランスフォームした大腸菌を用いてvsrの過剰発現に成功した。現在NMRによるvsrの構造解析を行っている。
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