研究概要 |
先に報告した2-あるいは4-ニトロゼンゼンスルホンアミド保護基に続いて、さらにこれらの保護基よりも穏和な条件で脱保護可能な2,4-ジニトロベンゼンスルホンアミド保護基を開発した。この保護基を用いても、ニトロベンゼンスルホンアミド保護基の場合と同様に二級アミンを収率良く合成できる。さらに、2,4-ジニトロ体と2-ニトロ体とを併用することにより、4箇所が任意に保護されたジアミンの一般的合成法へと応用することができた。この方法により、穏和な条件下高収率でジアミン合成が可能であり、コンビナトリアルケミストリーにも応用可能であると考えている。 このような新しい保護基の化学、および当研究室で開発したイソニトリルを用いた新規なインドール合成法をうまく組み合わせることで、短工程かつ実用的なビンカディフォルミンおよびタベルソニンの全合成を達成することができた。我々の開発したイソニトリルのラジカル反応による2-置換および2,3-二置換インドールの新規合成法を鍵反応として用いて、インドール上の2位および3位の置換基の導入を行い、スルホンアミドで保護したアミン部分を光延条件で縮合することで、骨格形成の前駆体を効率的に合成することができた。 ゲルセミンの全合成に関しては、すでに報告されている他のグループの全合成ではなしえなかったスピロインドール部分の立体化学の制御に成功し、ラセミ体での全合成を達成することができた。さらに、不斉Diels-Alder反応を鍵反応とする光学活性体での全合成を目指して研究行った結果、望みの不斉Diels-Alder反応が立体選択的に進行し、さらにルイス酸を用いたエポキシビシクロ[2.2.1]ヘプテンの骨格転位反応を経て、数段階の変換でラセミ体での全合成における重要中間体を合成することができた。
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