研究概要 |
われわれは、医薬品創製に有用な新規なシ-ド及びリ-ド化合物の合成開発を意識した新反応モードの開発戦略として“潜在的活性種"の有効利用という概念に従って研究を展開している。本科学研究費支援のもとでは、各種医薬品候補化合物、リ-ド化合物、有用新反応の開発を実施展開した。即ち、“潜在的脱水能"を発揮する3,3′-フェニルホスホリル-ビス(1,3-チアゾリジン-2-チオン)を活用してβ-ラクタム環形成反応を開発し、モノバクタム抗生物質合成に応用可能であることを実証した。次いで、チエナマイシンとモノバクタム系抗生物質のハイブリッドとしてチエナモノバクタムをデザインし、ジケテン-イミンによる“潜在的[2+2]環化反応"を活用してβ-ラクタマーゼ阻害剤の合成開発を達成した。更に、“潜在的連続性化種"ピラゾリジンとエチルホルムイミデ-トとによるトリアゾール環形成反応を利用して強力な1β-メチルカルバペネム抗生物質、ビアペネムのペンダント分子の実用的合成法を達成した。また、“潜在的環内窒素原子活性化能"を有するトリフルオロアセタミド-1,3,4-チアジアゾールを用いて新規なアシルイミノチアジアゾリン骨格を有する新規なアンジオテンシンII受容体拮抗作用化合物の合成開発を達成した。一連の研究過程で分子内非結合性S・・・O相互作用をX線結晶解析やab initio MO計算によって実証した。上述の各種新反応モードの他に、化学選択的なDieckmann型環化反応を活用するユニークなenantiodivergentなキラル分子の合成開発、高選択的なアリールアルキルケトン類のHWE反応の確立、共役アレニルケトン活性種のエンドモード環化反応を基盤とする高歪みメタシクロファン類の合成開発等にも成功している。
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