研究概要 |
昨年度の知見を基に,更にラット脳内におけるオキソステロイドの脂肪酸抱合体をLC/MSで検索した.その結果,先に確認されたpregnenolone3-stearateの他,pregnenolone 3-palmitate,dehydroepiandrosterone 3-stearte,-palmitate が新たに同定された.また,脳内における pregnenolone,dehydroepiandrostrone,pregnenolone 3-sulfateの存在もLC/MSなどにより改めて確認した.この際,これらオキソステロイドをmethyloxime誘導体へ導くことが,分子イオンピーク又は関連するピークの検出を容易とし,LC/MSでの同定上極めて有用なことも見出した.また,感度を比較したところ50倍程度の向上に繋がる場合もみられ,LC/MSにおける誘導体化の有用性を示唆する貴重な知見が得られた. 一方,ラット脳内脂肪酸抱合体(pregnenolone 3-stearate)のLC/MSによる定量法の開発を以下のようにして行った.すなわち,液/液抽出後,シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し,オキシム化後LC/MS(APCI)に付した.なお,オキシム化は試料の精製上も有用であった.定量法は精度,正確度に優れるものであり,実試料(灰白質)に適用したところ 100 ng/g tissue以上の存在が確認された.これは遊離型のそれを上まわるものであり,その生理的意義が注目される.
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