研究概要 |
1.製剤設計(1)疎水性キレート化合物の合成:精製したDiethylenetriaminepentaacetic acid(DTPA)酸無水物,Stearylamine(SAm)又は同alcohol(SE),GdCl_3からGd-DTPA-SAm及び-SEを量産した。アシル鎖長,不飽和度の異なる場合でも同様に合成できた。(2)レシチン膜マイクロカプセル(MC):大豆レシチン-コレステロール-ステアリン酸-ポリビニルピロリドン系について6領域からなる相図を明らかにした。これを基に,Gd-DTPA-SAmを含有させて,膨潤型(5:5:2:5),エロ-ジョン型(12:0:0:5),自己分散型(5:5:0:5)MCを調製した。これらMCを健常ラット肝に動注2h後,Gdの肝残留率はGd-DTPA水溶液の56-117倍であった。また,短時間エロ-ジョン型MC投与による正常組織への障害は一過性であった。(3)エマルジョン及びリポソーム:大豆油,水素添加ホスファチジルコリン,Gd-DTPA-SAm又は-SE,Tween80又はHCO60を用いo/w型エマルジョンを調製した。粒子径はGd-DTPA-SAmでは53,同-SEでは 83nmであった。また,粒子の血中滞留性を付加すべく種々のポリオキシエチレンエステル添加した場合も約100nmのエマルジョンが調製できた。同様にリポソームも調製できた。(4)デポ製剤用微粒子:グルタルアルデヒド架橋法で1.9-11.7μmのマイクロスフェア-を調製した。別途,Gd-DTPA-SAmを38%含有した平均粒子径52μmの合成高分子膜MCを調製した。(5)Gdの高分子キャリアの探索:DTPA酸無水物からDTPAポリマーの合成を試みた。高分子様物質の生成はみられたが,精製・同定には成功していない。検討を継続する。 2.評価系:Rat-hepatoma dRLh-84培養系を作成した。B16 melanoma 細胞をC57BL/6マウスの頚背部皮下に移植して,担癌動物モデルを作成した。また,Hamster-melanoma(D178 amelanotic,D179 melamotic)及びMouse-Colon26の皮下移植により腫瘍モデルを作成した。一方,肝癌モデル作成を試みたが,腫瘍成長の再現性が見られず,検討を継続中である。
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