研究概要 |
1.レシチン膜マイクロカプセル(MC) (1)溶出挙動,膨潤・崩壊挙動,熱分析によりSoybean lecithin(SL)-cholesterol(CH)-stearic acid(SA)-PVP系の水中での6傾域からなる相図を決定し,本MCの水中での多様な挙動の原因を明らかにした.(2)Gd含有エロ-ジョン型,自己分散型MCについて,MCとして14mg/kg b.w.量の肝動脈投与では,肝障害は回復可能な一過性であることを生化学的,組織学的に確認した. (3)3-Me-BDH含有飼料自由摂取による原発性肝癌ラット,Walker256肝移植ラットの作成については,再現性を検討中である. 2.エマルションおよびリポソーム (1)ポリエチレングリコール修飾リン脂質の合成を試みた.精製法・同定法について検討を継続中である.(2)D179(melanotic)およびD178(amelanotic)melanomaを2mm角に切り出し,Syrianハムスターのでん部皮下に移植して10日後に腫瘍直径が10mmとなる担癌動物実験系を確立した.(3)担癌ハムスターで,前年度調製法を確立したガドペンテト酸ステアリルアミド-水素添加フォスファチジルコリン-大豆油一界面活性剤(Tween80,ポリオキシエチレンステアリルエステル(Myrj53),HC060)系エマルションを腹腔内へ3mgGd相当量投与し,血中動態,臓器・腫瘍への分布をみた.投与24時間後の腫瘍内濃度は,Tween80系(粒径53nm)で30.3,Myrj系(90nm)で30.5,HCO60系(75nm)で62.6μgGd/g wet tissueに達した. 3.デポ製剤用微粒子 エマルジョン液滴融合法により,Gdを高濃度(固形分中13%Gd)に含有するキトサンナノサスペンション(粒径452nm)を調製し,Gd2400μg相当量をB16 F10 melanomaを側腹部皮下に移植した担癌C57BL/6マウスに腫瘍内投与して中性子照射実験を行ったところ,顕著な腫瘍成長抑制効果が得られた.これはGd中性子捕捉療法の固形癌での卓越した成功例であり,次年度ニつの国際学会で報告する予定である.
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