研究概要 |
1、MSSPとC-MYC,DNAポリメラーゼ_a,PCNA,cdk2との複合体形成MSSPは複製、細胞周期調節タンパク質なのでこれらに関与するタンパク質との相互作用を検討したところ、C-MYCのC末、DNAポリメラーゼ_aのN末、PCNAに直接、cdk2とは他の因子を介して結合することが明らかとなった。C-MYCとの結合にはRNPドメインがやはり必須であり、上記のトランスフォーメーション能に寄与していた。また、DNAポリメラーゼ_aに結合することでその複製活性を促進し、細胞内ではC-MYCがこの複合体に含まれていた。以上より、MSSPは異なるタンパク質因子と次々に結合することにより、G1/S→S期(DNA複製開始)に関与することが示唆された。 2、C-MYCタンパク質複合体の同定とその_cDNAクローニングおよび機能解析 1)p21 p21はC-MYCN末に結合うることで、MYC/Max複合体を解離し、転写能の抑制に関与していた。C-MYCはp21のPCNA結合領域に拮抗的に結合し、p21によるDNAポリメラーゼδ/PCNAの活性阻害を解除した。このことより、C-MYCが細胞周期調節因子に直接結合することでS期進行に関与することが示された。 2)DBF この2年間にc-mycの転写ターゲット遺伝子である熱ショックタンパク質70(hsp70)遺伝子上にC-MYC複合体認識配列を明らかにし、そこがG1特異的エンハンサーであることを示した。ここに直接結合する因子としてCBF複合体が存在するが、C-MYCはCBF-A,CBF-Cに結合することでこの複合体を解離させ、G1→S期に進行させることが示唆された。 3)AMY-1 新規C-MYC結合転写因子として_cDNAクローニングした。AMY-1はC-MYCのN末に結合し、相互に転写活性を増大させ、C-MYCとの結合により、細胞質から核に移行するユニークなタンパク質であった。 4)Pim-1 この2年間に古くからc-mycとの協調的細胞癌化が知られている癌遺伝子産物Pim-1がアポトーシス誘導を行うことをまず明らかにした。次にPim-1はC-MYCの中央部に直接結合することでc-mycのアポートシス経路に繋がることを示し、その介在タンパク質候補として、新規タンパク質PAP-1の_cDNAクローニングした。PAP-1は核膜に存在し、Pim-1のリン酸化のターゲットであり、Pim-1→c-mycのアポトーシス経路に関与すると考えられる。
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