研究概要 |
ラット肝細胞質NADPH-UQ reductase(UQ Rdase)をMADPH共存下、へパリンアフィニティー及びヒドロキシアパタイト-クロマトグラフィを用いて約300倍に精製した。精製酵素は、SDS-PAGEで単一のバンド(MW.49kD)を示し、NADPH存在でレシチンリポソーム中ubiquinone-10(UQ-10)の90%以上を還元した。一方、DT-diaphoraseを既報に従ってラット肝細胞質から約2,000倍に精製したが、同条件でリポソーム中UQ-10を殆ど還元しなかった。以上から、細胞質UQ Rdaseが、細胞のUQ Redox cycleの中心酵素であると推定された。 また、高UQH_2-10、高UQ Rdase含有ラット肝細胞がH_2O_2抵抗性を示す理由を精査したが、他の抗酸化因子消費に差が無く、UQH_2-10およびUQ Rdaseが高いことが唯一の理由と思われた。なお、H_2O_2によるグルタチオン消費は対応量の酸化型(GSSG)増加をもたらすが、アスコルビン酸消費は酸化型増加を伴わなかった。これらのことより、GSSG reductaseによる細胞質GSSG還元及びUQ Rdaseによる脂質膜QU-10還元の二つのNADPH-依存性Redox cycleが細胞ラジカル消去機構として存在することが示唆された。UQ Redox cycleの抗酸化作用を生体レベルで確かめるため、筋肉運動時のラジカル発生に着眼して、成人健常男子7名に自転車エルゴメーター運動負荷を与えたところ、最大酸素摂取時には血清乳酸値の上昇と共にUQH_2-10の有意の低下、対応量のUQ-10上昇を認めた。また、この変化は、負荷終了20分後で前値にまで回復した。肝が血中UQの分泌、回収系であることを考えると、この結果は肝UQ Redox cycleが生体ラジカル消去系として重要な役割を果たしていることを示唆した。 ユビキノンの新規類縁体としてアリールチオ置換及び塩素置換1,4‐benzoquinone類を多数合成し,牛心臓ミトコンドリア呼吸鎖に対する効果及び抗脂質過酸化効果を検討し、若干、生理活性のあるものを得た.
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