研究課題/領域番号 |
08457620
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 賢一 京都大学, 医学研究科, 教授 (70034030)
|
研究分担者 |
奥田 真弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (70252426)
齋藤 秀之 京都大学, 医学研究科, 講師 (40225727)
|
キーワード | 薬物輸送 / ペプチドトランスポータ / β-ランタム抗生物質 / 腸管吸収 / 尿細管分泌 / 有機アニオン / 有機カチオン / クローニング |
研究概要 |
本研究課題では、薬物の吸収・分布・排泄過程に関わる細胞膜トランスポータ群の臓器分布並びに構造・機能相関解析を実施し、以下の研究成果を得た。 1)H^+駆動型ペプチドトランスポータ群のcDNAクローニングと構造・機能及び臓器分布解析 ラット腎cDNAライブラリーから単離した2種のペプチドトランスポータcDNA(PEPT1及びPEPT2)の特性について比較解析た。PEPT1抗血清を用いた免疫組織学的解析の結果、ラットPEPT1は小腸と腎の刷子縁膜に発現していることが確認された。アフリカツメガエル卵母細胞発現系並びに遺伝子導入安定発現細胞を用いて輸送機能を調べた結果、PEPT1は構造的に多用なβ-ラクタム抗生物質をH^+勾配依存的に輸送することが示された。また、PEPT1の2及び4番目の推定膜貫通領域に存在する保存性ヒスチジン残基(His^<57>及びHis^<121>)が薬物認識機序に重要な役割を担っていることが示唆された。ラットPEPT2は腎に最も強く発現し、一部脳と肺にも検出されたが、小腸では発現がみられなかった。種々のβ-ラクタム抗生物質を用いて輸送阻害効果を比較検討した結果、PEPT2はPEPT1と異なる薬物認識性を有することが明らかとなった。 2)腎尿細管有機イオントランスポータ群の構造・機能解析 1.有機アニオントランスポータ 肝有機アニオントランスポータoatpのアミノ酸配列を参考に、PCRクローニング法を応用してラット腎cDNAライブラリーから尿細管特異的に発現する新規のcDNA(OAT-K1)を単離した。OAT-K1安定発現細胞を作成し輸送実験を行った結果、アニオン型抗癌剤メトトレキセートや内因性の葉酸を認識し輸送することが判明した。 2.有機カチオントランスポータ 肝と腎に発現する有機カチオントランスポータOCT1をプローブとしてラット腎cDNAライブラリーをスクリーニングし、尿細管特異的に発現する有機カチオントランスポータPCT2のcDNAを単離した。OCT2は、H^+勾配非依存的にカチオン性薬物を輸送することから、側底膜型有機カチオントランスポータであることが推察された。
|