研究課題/領域番号 |
08457622
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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研究分担者 |
金森 寛 富山大学, 理学部, 助教授 (00019001)
岡 茂範 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10268097)
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キーワード | バナジウム / バナジル錯体 / 糖尿病 / インスリン様作用 |
研究概要 |
低毒性かつ高持続性の経口抗糖尿病薬としてのバナジウム錯体の開発を目指し、かつ錯体の構造と薬理活性との相関性を探ることを目的として、(1)4価バナジウム(バナジル)を含む多数の錯体を合成し、それらの構造を解析した後、次に(2)インビトロ評価法としてエピネフリンで刺激したラットの脂肪細胞を用いて、これらのバナジル錯体がインスリンを同様に、遊離脂肪酸の放出を抑制するかどうかをしらべ、可能性ある錯体を選出し、最後に(3)ストレプトゾトシン(STZ)で糖尿病としたラットに錯体を腹腔内あるいは経口的に投与して血糖値が正常化するかどうかを検討した。この時、種々の血清パラメータをモニターした。 この一連の研究の中から、ピコリン酸を配位子とするバナジル錯体は優れた作用を示すことを見い出した。本バナジル-ピコリネート錯体は経口的に投与しても有効でありかつ体重減少などの毒性を示さないため、医薬品開発のためのリ-ド化合物になりうることが示された。そこで、本錯体をリ-ド化合物として、多数の関連化合物を合成し同様に検討したところ、バナジル-6-メチルピコリネート錯体が最も有効であることを見い出した。本錯体は他の錯体と異なり、動物の全身に作用するのみならず、膵臓B細胞にも作用してインスリンの合成か分泌のどちらかを促進していることや変異原性も示さず、臨床的にも利用可能であることを示唆した。さらに、研究を進め、より有効な錯体の開発を目指している。 本研究を進めつつ、バナジルイオンによる糖尿病発症の予防効果を検討した。STZを連日投与した後に続けて硫酸バナジルを連回投与すると血糖値の上昇が抑えられることを見い出した。この原因を検討したところ、バナジルイオンは糖尿病の発症に伴い産生される腹腔マクロファージからの一酸化窒素(NO)の生成を正常化させることを、新たに見い出した。
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