研究課題/領域番号 |
08457627
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武田 純 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (40270855)
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研究分担者 |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (00212952)
竹内 利行 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00109977)
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キーワード | ポジショナルクローニング / 若年発症型糖尿病 / 転写因子 / インスリン分泌 |
研究概要 |
第12番染色体(12q24)のMODY3領域からエクソントラッピング法、cDNAセレクション法、直接シーケンス法により40個の遺伝子を検出した。これらの遺伝子構造を決定し有力候補から順に欧米人家系について患者遺伝子を解析した結果、転写因子hepatocyte nuclear factor-1α(HNF-1α)遺伝子において発症の原因となる7種類の異常を発見した。HNF-1αは肝で最初に同定されたPOU-ホメオドメインを有する転写因子であるが膵β細胞でも発現しており、発見された異常は転写因子として機能する上で重要なドメインに存在した。次いで、日本人MODYを20症例検索したところ5例(25%)において異常が存在したので、現在までに発見された本邦の糖尿病遺伝子の内でHNF-1α遺伝子は最も頻度が高い原因遺伝子であることが判明した。MODY3は比較的重症の糖尿病を呈するので、55例のIDDM症例も併せてスクリーニングした。その結果、IDDMの3症例で遺伝子異常が認められた。これらの症例は自己抗体は陰性であり、第1度近親に遺伝子異常を有する糖尿病者が存在したので重症のMODY3であると考えられた。MODY3の多くは網膜症の進行が早いので、自己免疫機序によるIDDMとの早期鑑別診断が重要であると結論された。一方、多因子遺伝タイプの若年発症および成人発症NIDDMの検索では、160人を対象としたが発症の原因と考えられる遺伝子異常は見い出されなかった。従って、HNF-1α遺伝子異常は多因子遺伝タイプのNIDDMの主たる成因であるという可能性は否定された。
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