研究概要 |
遺伝性光線過敏症患者を診断するための指標として従来,紫外線照射した細胞の不定期DNA合成とRNA合成能の回復をオートラジオグラフティーで検出する方法がとらてきれた。これらの指標に加え,今回更にDNA複製に伴う修復異常を,オートラジオグラフティーで検出する方法を確立することができ,これらの3つのDNA修復指標を組み合わせることで系統的かつ簡便な診断法を確立した。これにより,より多数の患者のスクリーニングが可能となった。色素性乾皮症(XP)は代表的DNA修復異常症であるが,8群ある相補性群のうちバリアント型と呼ばれる群に属する患者は本邦ではA群に匹敵する多数の発症例が報告されている。他の群と異なり,DNA複製時における修復機構に欠損があると考えられている。これまで,バリアント細胞を不死化することは大変困難であると考えられてきたが,我々はSV40を用いて多数のバリアント細胞の中から不死化株を樹立することができた。この細胞株は親株と同様,DNA複製時の修復異常を示し,カフェイン存在下で紫外線に対し高感受性を示す。遺伝子クローニングの予備段階として,不死化XP-A細胞との間で雑種細胞を作り,紫外線に対する感受性や複製時における修復欠損の回復の有無を調べた。雑種細胞は紫外線に対してはほぼ正常レベルの抵抗性を示したが,DNA複製の際に見られる異常の回復は見られなかった。現在バリアント細胞相互での相補性テストの準備をしており,これによりバイアント内でのサブグループの有無が明らかになるものと考える。
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