DNA修復異常をもつ代表的遺伝疾患に色素性乾皮症(XP)がある。XPには7群の相補性群(A〜G)とバリアント(XP-V)の8群が知られている。我々はXPを含む遺伝性光線過敏症を系統的に診断する方法を確立し、70名以上の診断を行ってきた。このうちXP-Vは10名以上にのぼり、最多数群を占める。我々はSV40を用いて1株のXP-V不死化細胞株を確立した。この細胞はカフェイン存在下で高い紫外線感受性を示すことから、この細胞株を用いてXPバリアント内にさらにサブグループが存在するかどうかを雑種形成法を用いて調べた。初代培養XP-V細胞との雑種細胞を得るため、不死化XP-V細胞から6-thioguanine、G-418の2重耐性株を分離した。この細胞と10株の異なる患者由来の初代培養XP-V細胞を融合させG-418を含むHAT培地を用いて雑種細胞を作製したところ、これらはすべて紫外線感受性であった。以上の結果より、これらすべてのXP-V細胞は同一の欠損遺伝子をもつと結論した。 我々の診断した患者の中にDNA damage binding protein (DDB)を欠落し、多種の皮フ癌を発症しているケースを見出した。従来、XP-E群と呼ばれる患者の中にDDBが欠落する場合が報告されている。この患者のDDB遺伝子を詳細に調べると、イントロン内に1ケ所の点突然変異と、エキソン内にナンセンス変異がホモの状態であることが判明した。DNAの損傷部位に特異的に結合するこのタン白の異常がどのような機構でXPの臨床所見と癌を発症するのか現在解析を試みている。 UV^SS細胞におけるp53応答を詳細に解析し、CS細胞レベルの低い紫外線量でp53の核内蓄積が起こり、細胞周期がG1/S期で停止することを見出した。
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