研究課題/領域番号 |
08457634
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
渡邉 裕司 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (10012642)
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研究分担者 |
東田 道久 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助手 (20207525)
松本 欣三 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助教授 (10114654)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 記憶学習 / 両側総頸動脈永久結紮 / 脳組織障害 / 記憶学習障害治療薬 / gene expression / rat brain / rat brain |
研究概要 |
脳血管性障害は老年期痴呆の主要な原因で、その治療薬の開発を目的に様々な動物モデルが用いられている。しかしその多くは一過性の脳虚血モデルであり、ヒトの脳血管性痴呆に類似したモデルを用いた研究は少ない。本研究では、慢性的な脳血管性障害の動物モデルの確立を目的とし、ラットの両側総頚動脈を永久結紮(2VO)した際の学習行動の変化、脳組織変化および遺伝子発現変化についての検討を行い、以下の知見を得た。 1) 2VOにより空間認知に関連した作業記憶および参照記憶課題の習得障害が生ずることを、主に八方向放射状迷路課題を用いて明らかにした。作業記憶障害はcholinesterase阻害剤のtacrine投与によって回復した。 2) 2VO後初期の段階から既に、白質の粗髭化および海馬神経細胞の萎縮がみられ、その後も脳の種々の部位で多発性の脳組織変性が認められた。その組織変性には樹状突起の消失を伴っていた。また、変性部位には反応性アストロサイトが増大していた。漢方方剤・四物湯およびニコチン性受容体アゴニストのGST-21はこの脳組織障害に対して保護作用を有していた。 3) 2VOにより発現変化する因子の検討を遺伝学的手法により行い、数種の興味ある因子を単離した。そのうちvof-16(Accession No.AB006881)は、学習障害の程度と相関性をもって増大する可能性があることを示した。 以上の結果より、2VOモデルは、慢性脳循環障害を伴う痴呆症の病態解明ならびに薬剤の開発にあたり有用なモデルであると考えられる。
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