研究概要 |
1.核酸の新規発光性誘導体化試薬の開発と化学発光反応 5種のアリールグリオキサール試薬を合成し、それらの反応性を調べた結果、いずれも穏和な反応条件(37℃,pH6〜8,20分間)で核酸(DNA,RNA)のヌクレオチド鎖中のグアニン塩基に対して特異的に化学発光性の誘導体を与える知見を得た。中でも、フェニル核にメトキシ基を導入したトリメトキシフェニルグリオキサール(TMPG)試薬は、ジメチルホルムアミド(DMF)と過酸化水素存在下で最も強い化学発光を与えることが分かった。 2.核酸のCCD化学発光画像検出 上記の成果に基づき、まず、多試料を容易に処理できるミクロタイタ-プレート中のDNA及びポリデオキシグアニル酸に対するCCDカメラによる化学発光画像検出を試みた。その結果、TMPGの誘導体化反応液に、DMFと過酸化水素を含むpH8のホウ酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウム緩衝液加えると画像検出でき、それらの強度をコンピュータ処理した場合、100〜400ngレベルを容易に定量できる成果を得た。また、予期したようにグアニン塩基の重合度の高いポリデオキシグアニル酸ほど強く化学発光する結果も得た。現在、この方法をハイブリダイセーションアッセイに用いるナイロン膜上の核酸の化学発光画像検出法へ適応している。この場合、検出感度が約50倍かつ全測定操作時間が2分以内で終了できる知見が得られているので、ポリデオキシグアニル酸を発光レポーターとするDNAプローブを調製し、新しい遺伝子解析手法の開発研究へ進展させる予定である。
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