(1)新規TMPG試薬によるハイブリダイゼーション用膜上の核酸のCCD化学発光画像検出法の構築 前年度の研究によりTMPG試薬が穏和な反応条件で核酸分子内のグアニン塩基に対して特異的に化学発光性の誘導体を与える知見を得た。本年度は、ナイロン膜上に吸着させたDNA及びポリデオキシグアニル酸(d(G)n)のCCDカメラによる化学発光画像検出法について検討した。その結果、膜をpH10のリン酸Na緩衝液で濡らしたのち、室温で30秒間、TMPGのDMSO溶液に浸すことによって試料を発光体に誘導でき、直ちにDMF液に浸して生じる発光を30秒間画像検出する操作法を開発した。発光画像をコンピュータ処理した場合、6ngレベルのDNAを容易に定量できた。また、グアニン塩基の重合度の高いものほど強く化学発光した。そこで、5′-d(G)_<15>-TT-d(G)_<15>のポリデオキシグアニル酸を発光レポーターとするcDNAプローブを調製し、膜上のターゲット及び非ターゲットDNA断片とハイブリダイズさせたところ、プローブと結合したターゲットDNAのみがより強く化学発光した。この結果は、本発光検出法が特定遺伝子の検出系へ適応可能であることを意味する。 (2)膜上のDNA及びグアニル酸オリゴマーの簡便な化学発光画像検出 上述の化学発光の検出操作法では、試料の吸着した膜を、TMPGのDMSO溶液に浸し、次に、別のDMF液に数秒間浸してガラスプレート上で膜から発する化学発光を検出している。この操作では、膜に付着している各試液量が膜の大きさや操作する個人によって異なり、かつDMF液に浸す時間も感覚的であった。したがって、得られる発光強度の変動が大きくなることが欠点であった。そこで、TMPG試液に浸した状態で化学発光を検出する、より簡便でかつ精度の高い検出法へ改良した。
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