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1996 年度 実績報告書

血管病変診断のためのマーカーに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08457641
研究種目

基盤研究(B)

研究機関慶応義塾大学

研究代表者

田邊 清明  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20101983)

研究分担者 川合 陽子  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00129727)
キーワードEndothelium / Shear stress / Cytokine / Tissue factor / Coagulation / mRNA / TNF
研究概要

血管内皮細胞が血栓形成に果たす役割は大きい。われわれは血流が血管内皮細胞における線溶制御機構の調節に重要な役割を果たしており、サイトカイン存在下においても線溶亢進に作用し、血管内の抗血栓性の保持に重要な因子であることを報告してきた。今回は血管内皮細胞で生合成され、サイトカインなどの刺激後に膜貫通蛋白として内皮細胞上に発現し、第VII因子と複合体を形成後、カルシウムの存在下で第X因子を活性化し、凝固活性の初期段階に重要な役割を果たす組織因子(TF)に着目した。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を培養し、炎症性サイトカインの一つである腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)を負荷すると、内皮細胞上のTFの発現量は増加する。われわれは、コーンプレート型回転粘度計を応用し、TNF刺激した内皮細胞に生体に近い動脈レベルの流動状態を負荷し、TFの動態を検討した。培養ヒト血管内皮細胞に100U/mlのTNFαで刺激後1、3、6、9、15、24時間とTFのmRNAを測定すると、3時間をピークに著明に増加した。しかし、18dynes/cm^2のずり応力をともに負荷すると時間の経過とともにその発現量は抑制された。TNFαで刺激する3時間前・15時間前にずり応力を負荷すると、負荷後3時間のTFのmRNAの増加は前負荷の時間依存性に顕著に抑制された。内皮細胞内の抗原量を、15時間前からずり応力を負荷した条件でTNFαで刺激後1、3、6、9時間と測定すると、ずり応力を負荷しない細胞と比較しその発現は顕著に抑制された。この抑制は負荷したずり応力の強さ依存性であった。フローサイトメーターで測定した細胞表面上のTNFα刺激後のTF発現量もずり応力負荷で著明に抑制された。血流の存在は血栓制御機構や動脈硬化の形成機序に抑制的に作用する重要な因子であり、TFの発現の検査は血管病変のマーカーとして有用であることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kawai Y,Watanabe K,et al.: "Hemodynamic forces modulate the effects of cytokines on fibrinolytic activity of endothelial cells" Blood. 87(6). 2314-2321 (1996)

  • [文献書誌] 川合陽子: "レオロジーと血管内皮細胞" 臨床検査. 40(11). 64-65 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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