研究課題/領域番号 |
08458002
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
|
研究分担者 |
原野 明子 県立新潟女子短期大学, 専任講師 (10259210)
田代 和美 お茶の水女子大学, 生活科学部, 専任講師 (80227074)
|
キーワード | 感情 / 感性 / 気持ち / 幼児 / 保育者 / 幼稚園 / 親子関係 / 自己概念 |
研究概要 |
幼児期の感情や感性の発達を検討するために、次の5点について資料収集と分析を行った。1.幼児の仲間同士の交渉における感情的な表現とそのやり取りの過程を観察により分析する。週に1日の観察により4歳児クラスを中心にビデオでの観察を行った。そのビデオ記録から、いざこざやからかいの行動を取り出し、特にからかいについてはいくつかの種類に分析して、その行動の結果、(仲良くなれたか)との関連を検討中である。2.50名ほどの幼児に対する面接から、感情喚起場面においていかに振る舞うかを聞き出し、そこでの方略とソシオメトリーや親の評価との関連を見た。その結果、建設的な対処方略を取れる子どもは仲間から高く評価され、家庭で親が感情に適切に対処していた。また、自己認識の発達を検討し、幼児40名への面接から具体的な自己あり方を取り出した。3.50組ほどの家庭での母親と子ども(2・3歳)のやり取りを、ごっこ遊び、本読み、食事の3場面で観察し、質問紙による親への質問と関連づけた。その結果、気持ちへの言及に個人差・親子差が一貫しており、また場面差が見られた。特に、ごっこ遊びでは親は感情状態へ、本読みは思考状態へ、食事は欲求へ言及しやすいことが見出され、感情理解への育ちの関連が示唆された。4.保育者へ面接を行い、その保育での困る特性を持った子どもへの対応(30名程の保育者への面接)、実践上の困難を持った諸場面(45組程の保育者)への質問を行う二つの研究を行った。その結果、保育経験が長い保育者は目立たない困難さに敏感であり、長期的に考え、また解決を試みることが上手であった。また、問題の種類に応じて、経験年数の効果の違いが見られた。5.幼児が保育中に自発的に歌う歌をビデオ記憶から取り出し、幼児の自発的歌は、退屈したときと逆に遊びに熱中しているときに見られ、その文脈に応じた特徴を持っていた。
|