申請者が設計したパッシブソーラーハウスは半地下室と地下室を持つ。半地下室の前に付設の温室があり、ここに透明断熱材を貼り、18℃で相変化を起こす潜熱蓄熱体を設置し、冬期の効果を潜熱蓄熱体を使用しなかった場合と比較した。その結果ある程度の付設温室の温度の平準化が認められた。パッシブソーラーハウスは少ないエネルギーで快適な居住空間を得ることが出来る一方どうしても室温が低めになる、それに従い相対温度が上昇するという欠点もある。また年間を通して快適な室温というものは居住者のみならずカビ等の微生物にとっても快適でありその実体を調査する必要があった。この住宅で地下室、半地下室、中二階の3室を平成9年4月から平成10年1月まで毎月真菌の量と種類の調査を行った。温室度は各部屋でアスマン温湿度計を用いまた精密自記記録計で調査した。落下菌は各部屋毎にPDA培地、M4-0Y培地を10分間開放し、25℃の恒温室で10日間培養し同定した。また空中浮遊菌はBIOTEST/RCSエアサンプラーを用いて細菌用と真菌用の培地で調査した。その結果多くの知見を得たが地下室が真菌数が多く、半地下室、中二階の順になった。一度 Penicillium や A.versicolor に汚染されると地下室ではその勢力のために他の真菌が繁殖できない事も求められた。
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