研究概要 |
完新世における海面変化と地殻変動との関係を求めるために,古海面を指示し,かつ年代値が得られるサンゴ礁段丘を対象とし,喜界島東岸において完新世サンゴ礁段丘の地形の精査,断面測量およびサンゴの産出状況の調査を実施した.さらに東岸の志戸桶において段丘を横切る5地点で基盤まで達するボーリングを行い,オールコアの試料を採取し,詳しい層相観察を行うとともに,^<14>C年代とウラン系列年代測定を実施中である. 完新世サンゴ礁段丘は4面に細分される.地表調査の結果によると,I面は約6.9ka,II,III,IV面の年代はそれぞれ5.5ka,3.9ka,2.8kaとなり,面ごとに離水期が異なり,地震による不連続的な離水を示唆する.またサンゴの年代と高度の関係から,海方への若いサンゴ礁の付加現象が見出された.従来,細分された段丘面の年代に大きな幅がみられたのは,このような付加現象によるサンゴを段丘面構成層とみていたことによる可能性が大きい.ボーリングによって得られたコアは現在分析中であるが,II面のコアから,9.3ka〜5.3kaにいたる海進が読み取れる.今後年代測定の数を増やして,サンゴ礁段丘の形成と離水の過程,とくに界面変化と地殻変動との関連を明きらかにする. なお,同様な研究を行ったパプアニューギニア,ヒュオン半島のサンゴ礁段丘と比較して,喜界島では後氷期海進高頂期に対応するサンゴ礁段丘の発達がきわめて悪いことがわかり,その要因を検討中である.成果は次年度の調査とあわせて発表の予定であるので,一部の発表予定を「研究発表」の項目に記入した.
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