研究概要 |
初年度(平成8年度)の研究は,次の2点に焦点を絞って実施された。(1)クロス・カリキュラムの概念規定,(2)日本における先導的な学校の実地調査。 (1)については,カリキュラム論の立場からの理論的な研究が行われた。とくにイギリスにおけるクロス・カリキュラムの現状分析をもとに,クロス・カリキュラムの概念化の試みがなされた。リ-ズ大学(イギリス)のロビンソン氏を招聘し,日英のクロス・カリキュラムについての諸問題を議論するとともに,本研究へのレビューを受けた。 (2)については,神戸大学発達科学部附属明石中学校における総合的な学習である「環境・国際理解学習」「選択総合学習」を対象にして,約6カ月にわたる調査並びにカリキュラム開発の試行を行い,総合的に検討した。まず調査では,授業への参加観察,各種質問紙調査,面接調査などが担当教師並びに生徒を対象にして実施された。附属明石中学校における先導的なカリキュラムの調査分析についての主要な実績は,(1)調査対象校の「環境・国際理解学習」における8単元の全授業記録が作成されるとともに,そこでの総合的学習と教科との関係が詳細に検討された。(2)個別の単元では,「ディベート」の授業分析が行われた。(3)教師たちが直面しているクロス・カリキュラムの運営上の諸問題が整理された。次に,カリキュラム開発の試行にかかわる実績としては,(4)「選択総合学習」において「インターネット」を活用した授業づくりが行われ,その授業実践の反省的な検討がなされた。 なお,本年度の研究成果の一部は,平成8年度日本科学教育学会第3回研究会において,4件の発表として報告された。
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